父のこと
父が亡くなって49日が過ぎた。
無事法要もすませた。
こうやってすこしづつ日常が戻っていくのだろう。
父が亡くなることは、もうずっと前から覚悟はしていた。
怯えていた。
だが、あまりにもあっけなく逝き、粛々と様々なことが進んでいった。
あまり覚えてはいない。
世の中でたった一人の私の父親がこの世を去った。
そのことで見えたもの。見えてしまったこと。知ってしまったこと。
言ってしまった言葉。
聞かされた時の気持ち。
まぁ、誰もがそうなんだろう、そういうもんなのだろう。
家族も長くなると、互いの気持ちがわからない。
一緒にいても人の気持ちというのは分からないだろうが。
病院を転院することになって、車に乗り込んだ時のこと。
入院以来の対面だったが、もう会話らしい会話もできず。
ただ、ストレッチャーに固定された手をぐいと伸ばそうとする力はすごかった。
父なりに何かを伝えたかったんだろうと思う。
しっかり固定された手は言う事を聞かなかったが、
あの時の力は、はっきりと覚えている。
何を伝えたっかたそだろうか。
今となってはもうわかりようもないが。
49日の法要で、読経が流れたとき
身体がふっと暖かくなった気がした。
隣に小学4年の子どもが座っていて、どうかこの子たちの行く末を見守ってくださいと
心からお願いした。