Lipton28 blog

欲求不明です。

父のこと

今月の初めに、父が亡くなりました。

92歳でした。

2月の中頃に救急車で運ばれて入院してからは

ほとんど話もできない状態でした。

救急隊の方々に支えられ家から出たとき、

父はたぶんもう家には帰れないことを知っていたんだと思います。

 

1か月半ほど過ぎたころ、長期療養型の病院へと転院になりました。

入院中はほとんど会えなかったので、

転院の時は車に同乗し、ストレッチャーの横に座りました。

 

父はストレッチャーに固定された腕を、

それはそれは力いっぱい伸ばそうとしました。

看護師から、

「点滴のチューブを抜かないように注意してあげてください」

といわれていたので、私は何度も

「お父さん、手は動かせないんだよ」と言いました。

何度かの後、あきらめたように父は静かになりました。

 

あの時

たぶん

きっと

父は手をつなぎたかったのだと思います。

 

以前は通院の時によく手をつないで歩きました。

父が90歳近くになったころから病院へは付き添いが必要でした。

内科と神経内科

私の仕事の休みに合わせて予約を入れました。

天気のいい日は、帰りに買い物なんかもしました。

子どもの時のように、父と手をつないで歩きました。

 

転院してから6日目でした。

何度も病院から連絡が入り、何度も病院へ向かい、帰宅後は少しずつ準備をしました。

いつでも、帰ってこれるように。

いつでも、迎えられるように。

和室をきれいに片付けたのを知ったかのように、

心臓が止まりました。

私たちが病院へ着く5分ほど前だったそうです。

 

自宅で仮通夜をしてから葬儀場へ行きました。

通夜の夜も、

葬儀の日も、

とても暖かで穏やかな日でした。

父が転院してからの日々は、本当に春を思わせるような暖かな日が続いていました。

寒がりの母が体調を崩すこともありませんでした。

 

一つ一つ、やらなければならない仕事を片付けています。

悲しむのはまだ先なのでしょうか。

いつもいつも、泣きたいのだけど泣けません。

涙が出てこないのです。

 

悲しみは孤独とペアでやってくるものなのでしょうか。

一人になりたいけど

一人になるのはまだ先のようです。

 

 

 

 

ありがとうございました。

 

ありがとうございました。

 

幸せをたくさん、ありがとうございました。