カムカムエヴリバディ
本当は、何もかもるいに話すつもりで。
るいに謝りたくて、安子に、父ちゃんに、母ちゃんに謝りたくて、許して欲しくて訪ねて来たのだろうに。
「さぁ、どうだったかなぁ」なんて。
算太は変わらない。
いつも都合が悪くなると逃げ出す。
そうして重い荷物が増えていく。
もうそろそろ荷物を下ろしてもいいよ。
誰も責めたりしないから。
無様に泣いて詫びて許しを請うてくださいな。
人は最後に自分の見たいものを見るんだ。
金太が、戦争から帰ってきた算太を迎えたように、
算太は商店街を思い、家族を思い、たちばなを思い出した。
見上げてこぼれた涙が名演でした。
自分に失望して、みっともなくて恥ずかしくて、
そこからが人生は長い。
終わらない限り続いていく。
やがて、終わりが来る。
必ず。
誰にでも。
望んでも、望まなくても終わりは来る。
始まって終わる。
失ってまた手に入れる。
ただそれだけの事。
それ以下でもそれ以上でもなく、
終わりまで生きる。